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嗚呼、私のガラテア...私のイライザよ!!

2016年4月12日

昨年秋、一件のユニークな企画が持ち込まれた。それはマネキンをあたかも人間のモデルのように使ったプロモーション映像の制作だった。クライアントは面識のある方で、何にでも興味を持っている1人として私を選んでくれたわけだが、私の担当はコンセプトに合ったマネキンの選択とその演出手法を確立することだった。

 

 

ただし本物のモデルの代わりにマネキンを...というある意味安っぽい考えではなく発想を逆手に取り、マネキンという存在を主張しても面白いのではないかと考えた。「オーマイキー」の例もあるから...という私の案が通りまずはマネキン捜しが始まった。

 

それまでマネキンはデパートなどで眺めるだけのものと思っていたから特に興味もなかったが、そうなると若い頃に人形を作ってみようとした持ち前の好奇心が膨らんできた。

とはいっても予備知識がなかったから、まずは首から上だけの安価なヘッドマネキンというものを手に入れた。材質の確認やどの程度の出来なのか、扱いに関し特に難しい点はないのか,,,といったあれこれを確認するためでもあった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

同時にマネキンというものを基礎から勉強してみようという気になり、数冊の書籍や写真集などを手に入れ読みふけった。マネキンはシーウィンドウ内で衣裳を着せられ並べられているだけという印象しか持っていなかったが、その歴史は勿論、マネキン特有の造形手法などに大いに興味を持った…。

 

その後、仕事の方は紆余曲折の上で座ったポーズのマネキンと直立しているマネキンを手に入れた。一体はわざわざアメリカのサイトから大枚の送料をかけて購入したものだ。これらのマネキンは企画に沿ったもので女性のマネキンだが、最初に手に入れたヘッドマネキンに合うであろうWig(かつら)を付けてみたところ...はまってしまったのである(笑)。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

若い頃、人形を作ってみようとして挫折したことは確かだが、マネキンを眼前に置いてもそれは人形でありオブジェなのだから感情移入するとは思ってもみなかった。しかし2体のフルボディ仕様のマネキンより首から上しかないヘッドマネキンの醸し出す雰囲気に惚れてしまったといえばよいのだろうか...。

やはり「人形は顔が命」という雛人形のキャッチコピーではないが、マネキンもイメージに合った顔が一番重要となる。その点、この一番安価なヘッドマネキンが気に入ったというのも皮肉な話しだ。

 

さて首から上とはいえ人の顔として成立させる映像を撮るにはやはりそのままでは役に立たないことはすぐに分かった。バストアップ程度の姿を必要とする場合が多く、ブラウスの胸元や襟元あたりまでは自然な造形が欲しい。しかしこの顔のままのフルマネキンを探したものの見つからなかった。そうであれば自作するしかない...。

 

なにも裸体を評価するわけではなく服を着せてそれらしく見えれば良い。したがって材質やディテールに拘る必要はないからと加工しやすい芯材として発泡スチロールとラフな造形作りに適切な紙粘土を選び腰から上の創作をやってみることにした。

本来ならブロンズ像の型でも作るつもりできちんとした造形をしたいところだが、これは仕事の一環であり締切や予算というものがついて回るから100%思い通りにできるはずもない。

 

勿論こんなことを始めたのは初めてである。子供の頃、絵画や彫刻で板橋区の特選に輝いたこともあったし幾多の模型工作はもとより、10弦ギターやリュートもどきまで自作した工作好きではあったが、女性の体を造形するといったことは未経験だ。

 

まずはヘッド部とバランスの良いことを念頭にバストアップの基本形を作り始めた。しかしすぐに「これは短時間では無理」ということに気づいた(笑)。

何とかバストアップは目処が付いたが、この調子で腰まで作るのは力不足だと認識し、結局女性の下着をディスプレイするための腰からお尻、太ももの付け根までのマネキンがあることを知り、自作の上半身をこの腰部位のマネキンに乗せて接着するという簡易的方法をとることにした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

言い訳めくが前記したとおり、一応服を着せ不自然でなければボディは穴だらけでも構わないのでかなり粗い作りだが、これに下着を着けてブラウスとスカートを穿かせれば目的は達成できるはずだ。ただし問題なのはこのプロジェクトに専属の女性スタッフがいないことだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

いやクライアントにはこうしたファッションに敏感な女性は多々いるがいわゆる担当違いなのでそうそうあれこれとアドバイスをもらうわけにもいかないのが苦しいところ…。本来なら下着や衣裳はもとより装身具といったあれこれに関して適切なアドバイスを欲しいのだが。

 

ただし企画の主役はマネキンではなくあくまでこれは引き立て役だ。そうした意図から私らの目から見て良しとする映像が作れれば理想なのだが何とか時間が少し延びてしまったもののプロジェクトはやっと終わりを迎えた。当初の約束どおり、私の選び作り上げた一体のマネキンは今後もMacテクノロジー研究所の専属モデルとして活躍してくれる予定だ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ということでヘッドマネキンを手にしてから早くも4ヶ月が過ぎようとしている。そのボディはいい加減な造形ではあったが次第に人の形になっていく様を体現しているとあのキプロス島の王、ピュグマリオンの思いがわかるような気がして楽しかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

これを機会にと前記したようにマネキンというものの歴史やファッションとの関わり合いなどを勉強・研究し始めているが、次は別の造形手法を考え、より本格的な...私なりのガラテアを創作してみたいと思う。

 

 

ヘッドマネキン。その名の通り首から上しかないマネキン

テスト的にと最初に手に入れたヘッドマネキンが一番のお気に入りとなった

ヘッドマネキンにWigを付けての撮影例2題

ヘッドマネキンにWigを着けてみたら...惚れた(笑)。写真右の手は別のマネキンから借用したもの

ヘッドマネキンに腰から上のボディを造形中

造形中にもバランスを確認するため下着をつけてみる...

ボディの造形中を背中から撮影

ブラウスとスカートを着けてみたが、背中はこの段階では薄っぺらく立体感に欠ける

ボディ造作の完成形。ブラウスとスカートを着せる

なんとか形になってきた。ただし腕は作るつもりはない

マネキンに関する五冊の書籍

ファッションやウィンドディスプレイに不可欠なマネキンのことを急ぎ勉強中

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