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旭川デザインワークセミナーに講師として参加

それはキヤノン販売札幌支店の課長からの依頼で旭川市役所で100名のデザイナーを集めたMacintoshセミナー「旭川デザインワークセミナー」を開催したいという話しだった。100名ほどの地元のデザイナーさんにお集まりいただくことになっていたが、果たして企画どおりに参加者が集まるのか正直訝しく思った。なにしろ当時Macのシェアは実に低かったからだ。

 

1990年11月、私は生憎と小雪降る中、空港に降り立ちいつものように肩にめり込むような荷物を担ぎながらタクシー乗り場を探そうとしたとき、なんとキヤノン販売の課長と市役所担当の方たちが黒塗りの車で待っていてくれたのだった。旭川はおろか北海道は初めてだったし経験したことのない寒さに心細い思いをしていた私はホッと胸をなで下ろした…。ただし車の中で「先生...先生」と呼ばれるのには閉口したが...(笑)。

 

セミナーはお陰様で成功裏に終わった。まだまだ知名度はおろかMacintoshとデザインの関係というか、プロフェッショナルがMacintoshでどこまでできるか、仕事として役に立つのか…といった基本情報さえ不十分な時代だったから皆さん新しい情報には飢えていた。

結局最新のハードウエアとソフトウェアを紹介し、デザインワークのインプットからアウトプットに至るまでのあれこれをプレゼンしたが、休憩時間や終了後も私は質問攻めにあった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そういえばそのセミナー後に関係者の方々から接待を受けた…。それは恐縮しながらも初めての土地に1人で向かった私としては心温まるありがたいことだったが反面とても困ったことに直面した。それは食事のとき北海道ならではの新鮮な魚介類がずらりと列んだのである。特に生牡蠣は沢山あったように記憶しているが、実は私はその魚介類…特に生ものが大の苦手なのだった(笑)。

とはいえゲストの私が箸をつけないと同席の方々が食べ始められないといわれ、仕方なしに無理して生牡蠣を噛まずに喉を通した…。

 

帰社してスタッフにその話をしたところ、セミナー企画担当者の方から電話をいただき「松田さんの好物は?」と聞かれたという。勿論スタッフは私の偏食と好みを知っているから魚介類や肉食はダメという話をしたというが、どうやら説明の仕方が不十分だったのだろう、私の苦手というあれこれが好物として伝わってしまったらしい。

 

まあまあ、今となっては楽しい思い出ではあるがその場では正直どうしようかと本音で困惑したものだ。結局旭川で一泊し、翌朝これまた初めての札幌に入って2人のプログラマと面会し、彼らが候補として選んだという事務所を確認することにした。

 

物件は3LDKのマンションだったが地下鉄「白石駅」の真上にあり、駅を降りて外に出ず直接マンションに入れる駅ビルというロケーションだった。建物自体は新しくないものの驚いたことに賃貸料が8万円と東京では考えられない安価なこと、そしていわゆる礼金は不要なため前家賃および敷金2ヶ月を合計しても32万円で賃貸契約を結ぶことができたのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

こうして器としての札幌支店は用意できたがさて2人のプログラマにどのように働いてもらい、そして利益を上げることができるかを考えなければならなかった。

私が2人に伝えたことはただひとつ、「会社の運営や仕事の手順などで副社長を含めこれから4人で話し合っていくが、例えあなた方の意にそぐわない仕事でも一度決まったことには全力で対応して欲しい」ということだった。すでに2人は妻帯者であり経験もあり大人である。仕事に関するあれこれには分別もあるはずだと年長のY.Kに札幌支店長、M.Tは開発部長という肩書きを決め私は東京に戻った。

 

ということで先走って言わせて貰えば、このときの話がなければコーシンはずっと本社だけのちんまりした組織だったに違いない。無論その後の事情で新しい人材が入ってくることになったかも知れないが、経費のかかる札幌支店を生むきっかけは副社長の要望だった。

 

確かに札幌支店の存在はエキサイティングで嬉しい出会いを多々生んだものの、終始採算が合わない組織であったし、それはまだしも開発効率の悪さと開発陣の息が合わない点が後年私の頭痛の種となっていく。そして決断したのは社長としての私だったことに間違いないが、なによりも開発陣を束ねる責任者であるはずのKが具体的な問題解決に動いてくれる気配もなかったことが私の心の奥底に小さな痼りを作っていく。

 

 

「旭川デザインワークセミナー」での筆者(上)。終了後も質問攻めに合う(下)

開設したばかりの札幌支店の応接室

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