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マルチメディア '91 出展 〜 QuickTimeの登場

さて、1991年の出来事はまだまだ多かった…。強い記憶として残っているひとつに1991年10月9日から3日間、幕張メッセで開催された「マルチメディア'91」に出展したことだ。昨年に続きアップルジャパンからの要請だったが、同社のブースの一郭で展示を行うことになった。

 

ただし開催期間中の天候は悪く、最終日は横殴りの雨だった。しかしそれでも一番の来場者数を記録したというのだから当時「マルチメディア」という実体をつかみにくいものに多くの期待が集まっていたことがわかる。

それからこの3日間は私も含めて札幌支店からかけつけたスタッフ共々風邪気味で正直辛い3日間だった。私はといえばブースの交代要員として手伝いつつ、アップルの専用ステージで自社製アプリケーションのプレゼンをやるなど、終始気が抜けない日々だった。

 

幕張の会場内はNEC、IBM、東芝、パイオニア、日立などという大企業がほとんどだったが昨年同様今年もアップルのブースが一番の賑わいを見せていた。なにしろ初日はブース内の通路があまりにも込み合い、行き交う人たちのトラブルが多発し、その日の夕方には一部アップルブースの配置を変更したほどだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

アップルコンのブーステーマは発表されたばかりのQuickTime一色だったが、いまでは想像もつかないだろう困難で厄介な催事となった。

何故なら我々はともかく、一般の来場者の方は勿論、他社出展者たちにとってQuickTimeとは何なのか、どういうものなのかが知られていなかったからだ。それはやむを得ないことで、なにしろ我々は自社独自開発のデジタルビデオシステム「VideoMagician」で、いわゆるデジタルビデオというものの長所短所を知り尽くしていたが、一般の方にとって今後のマルチメディアにとっての画期的ツールだと聞かされていても何が何だか分からなかったのだ。

 

したがって我々は勿論、アップルジャパンの各ブースの人員は押し寄せる人波の質問攻めにあい、その説明にやっきであった。せめてアップルもメインブースにQuickTimeの簡単な解説ボードとかパンフレットの一つくらい用意してくれたら大分違っていたように思うが、そのいまひとつの気遣いができないのも当時のアップルジャパンだったのだから仕方がない(笑)。

 

我々の会社は新しく開発した、QuickTimeに準拠し静止画のみならずデジタルビデオやレーザーディスクまでをも検索利用できる画像データベースソフト「グランミュゼ」を中心に展示したが、Macworld Expoとは違いMacintoshに直接関わり合いのないお客様も来場されるわけで、てんやわんやの騒ぎとなる。なにしろ自社アプリの説明どころではなく、Mac OSの話し、Macintoshというパソコンの優位性、QuickTimeってなんなのか、何が出来るのか、何が変わるのか、そしてWindowsでは使えないのか(笑)といった質問が何重もの人垣の中から飛んできてまともな対応ができない有様だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「グランミュゼ」という画像データベースの中で静止画だけでなくQuickTimeによる動画が動く様を見せ、動画の情報量の多さをアピールしてもそこで何が起こっているかを認識できる人は残念ながらまだ多くはなかった。

我々はそうした傾向をある程度予測していたこともあり、動画…すなわちモーションピクチャーの説明上、お見せする必要があるお客様には一見動画とは縁がないと感じるであろう原稿用紙日本語ワープロ「たまづさ」上で、文章による説明では分かりづらい箇所をクリックすると解説の動画やサウンドがポップアップする「からくり・たまづさ」(非売品)をお見せしながら動画の優位性を感じていただけるよう努力をした。なによりも来場者の目が点になるのを見るのは楽しかった(笑)。

 

ただしごく一般の方にはアップルのブースに限らず、各企業のブースの展示は一見同じようなものに見えたのではないかと思う。パソコンのモニタ上にビデオ映像が表示されている様は魅力的には写るだろうが、その映像がデジタルなのかアナログなのか、その背景や延長線上に何があり、どのような応用が可能なのかということが明確になっているブースはやはり我々を含むアップルでしかなかったと思う。それでも大手の展示にもMacintoshがかなり使われ始めていたことも事実で、時代の流れを感じていた。

 

そういえば、アップルのブースにあのプリントゴッコで有名な理想科学工業が出展していたのも面白かった。PhotoshopでYMCの3版をレーザープリンタ印刷し、それでプリントゴッコのマスターを作り重ねてプリントするものだが、位置合わせが正確にできる機種のため、なかなか利用価値がありそうだと思った。ただしこの感覚は現在のようにインクジェットカラープリンタが安価に手に入る時代ではなかったことを忘れてはなり立たない…(笑)。

 

ともかく我々は舞浜のホテルに泊り込みでだったが、搬入日を含め終日雨、雨、雨にはまいった。しかしこの雨の中でもあれだけの来場者があるのだから「マルチメディア」、そして「アップル」に対する関心の高さがうかがえて興味深かった。

 

 

マルティメディア'91 アップルブースの様子。特に2枚目の写真でその混雑ぶりがわかる

自社開発アプリケーション「グラン・ミュゼ」パッケージ

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