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The 4th Japan Developers Conference の思い出

1993年2月のMacWorld Expo/Tokyo出展を終えたもののその後もスケジュールは満載だった。しかしこの時代は忙しく全国を飛び回っていたが充実感もあり目立った嫌な思い出もない。やることなすことがすべてといって良いほどツボにはまったように巧く運んでいた。

 

5月14日には私の会社がNIFTY-Serve上で運営するフォーラムのオフラインミーティングを開催した。我々スタッフを別にして25名の方が出席され楽しいひとときを過ごしたが、記憶に残っているのは常連の鵜沢善久さんが幹事となって盛り上げてくださったことだ。

 

5月17日にはアップルジャパンの大阪支社に出張する。当時アップルジャパンは千駄ヶ谷に本社をかまえていたが大阪にも支社があった。やはり綺麗で素敵なオフィスだったが、その女性担当者には大変お世話になった。

普段マンパワーがない我々は全国の販売店やユーザー向けに直接啓蒙活動を行うことは滅多にできなかった。なにしろ営業は社長である私一人だったのだから…。したがって機会があるごとに関西エリアの認知度をあげるべく大阪支社に出向き、新製品のデモやプロモーションのお手伝いなどをしていた。

 

このときはアップルセンター向けのセミナーのためだった。アップルセンターは当時全国で21店舗あったが、この年の6,7月のキャンペーン商品に私の会社の画像データベースソフト「GRAND MUSEE 2.0」が選ばれたからだ。

私の役目は18日の大阪と20日の東京でアップルセンターのインストレディの皆さんにGRAND MUSEEを覚えていただくことだった。したがって予定通りに運べば全国のアップルセンターでGRAND MUSEEのデモが見られるようになるだけでなく、画像データベースを作ろうと考えている全国の方々にアドバイスできるようになると期待していた。

 

「GRAND MUSEE 2.0」の操作そのものはMacintoshのGUI に準じていたから難しいものではなかったが、私が時間を割いたのは画像データベースそのものに関しての知識についてだった。データベースとはそもそも何ぞや? からはじまり、それまでにもあったテキストベースのデータベースと「GRAND MUSEE 2.0」のような画像データベースの違いは何なのか、どのような可能性が生まれるのか等などを知ってもらえれば自ずと「GRAND MUSEE 2.0」に行き着くだろうと考えていた。

 

しかしそもそもデータベースといえば、検索して目的の文献や資料といったデータを探し出すといったイメージしかなく「GRAND MUSEE 2.0」の多義に渡る画像・映像メディアを使ってデータベースを構築するには越えなければならないいくつかの固定概念があり、説明に苦労した思い出がある。

このときの経験や思索をまとめたのが1994年6月に技術評論社から出版した「画像データベース構築・活用技法」に繋がったといえる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

6月24日には札幌に入り、大阪と同様な目的で地元の販売店対象のセミナーを行った。その足で千歳空港から金沢の小松空港に飛び、やはり地元のキヤノン系販売店向けにデモやセミナーを行い29日東京にトンポ帰りした。

翌日の30日に東京ベイヒルトンホテルに行かなければならなかったからだが、7月1日と2日の2日間、アップルジャパン主催の「The 4th Japan Developers Conference」が開催されることになっていたからだった。まったく目まぐるしい時期だったが、私自身はそれらのスケジュールに身を任せて楽しんでいた。

 

さて現在、JDC(Japan Developers Conference)は開催されていないが、1990年代の半ばまでデベロッパを対象に現在のWWDC(Worldwide Developer Conference)の日本版として年一回の開催が約束されていた。

この1993年の会場は東京ベイヒルトンホテル地下1階の「朝凪の間」と2階をほぼ借り切った状態で行われた。ただし残念ながら私は後述するように単なる参加者というよりパネルディスカッションに出演する役割があったため、自身で写真を撮る余裕がなく、写真などのビジュアルが残っていないのが悔やまれる。

ともあれ手元にあるアップルが配布した「The 4th Japan Developers Conference〜PROGRAM」のA4版見開きパンフレットを頼りにその概要を記してみよう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

7月1日および2日の両日共に基調講演が組まれていた。一日目は米国Apple本社のデベロッパグループ副社長カーク・ロブナー氏と当時アップルジャパン社長の武内重親氏が務め、二日目は米国Apple本社ニューメディア・ニューマーケッツ副社長だったサチーブ・シャヒル氏と、当時アップルジャパンのマーケティング部部長だった原田永幸氏が務めた。

両日とも、基調講演は午前10時から2時間行われ、一時間の昼食時間を挟んで各プログラムが平行して開催された。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

初日は4つのプログラムと1つのラボが平行して行われた。一番大きないわゆるメイン会場(クリスタルの間)では「PowerPCの全体像と詳細(第1日)」と題し、米国のスタッフ3人がそれぞれ1時間づつ各セッションを行っている。

また地下「朝凪の間」では「AppleScriptの全体像と詳細」と題する3時間のプログラムがあり、米国アップルのスタッフの他、アップルの福島哲氏と鈴木誠一氏、ベルデ企画の内田則政氏、メディアドライブ研究所の高村俊介氏、エルゴソフトの岩田勇氏そして私の会社コーシングラフィックシステムズのM.Tが熱弁をふるった。

 

その後「新しい開発ツール」と題して米国アップルと米国シマンテックの担当が1時間のセッションを行い、続いて私の出番となった。

それは1時間の枠であったが「デベロッパ・パネル」と題するパネルディスカッションだった。

出演者は私の他に、エーアンドエーの新庄宗昭社長、アルダスの手嶋雅夫社長、ビーユージーの服部裕之社長の4名だった。今となってはどのような話をしたのか記憶にないが、JDCの性格上そのほとんどが堅い話題に終始する中で唯一雑談めいた話が出来る…聴ける場として多くの参加者があったように記憶している。

 

「金の間」では「漢字Talk7.1と漢字フォント」と題してアップルジャパンの水野孝之と福井裕之が1時間のセッションを行い、その後で「Macintoshプログラミングチュートリアル」と題するアップルイベント対応のプログラミングについて、アイチアイの酒井公治氏が、続いてアップルジャパンの福島哲氏が「デベロッパプログラムガイド」と題して1時間のセッションを行った。

さらに「銀の間」ではこれまたアップルジャパンの田中太郎氏が「QuickTimeの現状と展望」と題して2時間のセッションの後、ビーユージーの佐藤俊彦氏、SRAの松尾正敏氏、クボタの葛原基志氏の3氏がそれぞれ「デベロッパ事例研究」を1時間づつ発表した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

続いて二日目をご紹介する。

基調講演および昼食を挟み、「クリスタルの間」では「QuicklDraw GXの全体像と詳細」と題するセッションが2時間組まれており、米国Appleのジム・ストーンハム氏がセッションを受け持った。その後は1日目の続きとして「PowerPCの全体像と詳細(第2日)」を前日とは違う米国Appleのスタッフが3時間に渡って詳細なセッションを行った。

「朝凪の間」では「Newtonの現状と展望」と「AOCEの全体像と詳細」と題するプログラムが各2時間づつ、米国のスタッフで執り行われ、同時に「金の間」では「ソフトウェア流通パネル」「ソフトウェア著作権保護への対応」そして「マルチメディア」と題するプログラムが進行していた。

「銀の間」は終日「デベロッパの事例研究」と題してボイジャー、エーアンドエー、三菱商事、サムシンググッド、マクロメディア各社がデベロッパーを代表する立場から各社独自の取り組みと製品紹介などを展開していた。

 

会場が高級ホテルだけに参加費用も高かった。たぶん一人30,000円程度だったのではないだろうか。しかし現在のようにWWCDのために米国に出向かなければ新しいテクノロジーのセッションを見聞きできないよりは予算的にも時間的にも余裕があった。とはいえ米国Apple本社からそのために数人の担当者が来日したものの、WWDCのそれと比較すれば当然の事ながらこれまた時間的、人的リソース的にも劣るわけで、米国での開催と同じレベルを期待できるものではなかったことは申し上げるまでもない…。

 

1993年という時代はまだまだパーソナルコンピューティングの未来には多くの明るい材料があると期待されていた時でもあり、東京ベイヒルトンホテルに集まったデベロッパの方たちの顔は、総じて明るかったように記憶している。

いくつか参加したJDCのプログラムの内容はまったく忘れているが、ホテルの様子や馴染みのデベロッパの方々の晴れやかな姿は脳裏に焼き付いている。

 

 

1994年6月、技術評論社から出版した「画像データベース構築・活用技法」

第4回 JDC のプログラム表紙

プログラムにある会場レイアウト一覧

7月1日と2日の両日におけるプログラム一覧

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