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御社に親戚の子を就職させてもらえないか?とプレッシャー

物事は外側から見た方が綺麗に、そしてより良く見えるものだ。会社という組織もご多分に漏れずそうした一例でもあるようだ。Macintosh黎明期の我々はMacの面白さと素晴らしさをソフトウェアを通して知っていただき1人でもユーザーを増やしたいという思いで活動していた。

 

勿論、根底にそうした熱いものがなければ本気でことに当たれないものだが、自分たち自身やりたいことを仕事にしていた訳だから正直創業から6年ほどは実に楽しかった。しかし努力すればするほどマンパワーの欠如は身にしみていたが、単に人を増やせば解決するほどことは単純な話しではない。

結局1997年だったか新宿本社が4人、札幌支店が4人という体勢になったもののそれ以上人が増えることはなかった。

 

さて、我々はメーカーだからして店頭販売するといった内容のビジネスではないから直接ユーザーや顧客になる人たちの目に触れることはなかった。しかし製品を売るにはそれなりの作戦が必要だがアピールするにも大枚な広告宣伝費を捻出することもできない超マイクロ企業だったから、私を含めてスタッフ自身を事あるごとに露出させることになった。したがってイベントとなればアップルジャパン、ソニーをはじめお仲間の方々にお手伝いいただき、何とか体裁を整えていたのが実際の姿だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

確かに仕事とは言えMacworld Expo/Tokyo出展ブースなどの我々は苦労はあったものの楽しんでいたからその雰囲気はお客様や来場者に伝わったに違いない。そうしたことが積み重なり、コーシングラフィックシステムズというたった数人の会社にも伝説が生まれていく…。現実よりずっと素晴らしく魅力的な会社に映ったらしい。

 

それらの功罪のひとつに「コーシンに入社したい」という人たちが急に増えたことだ。

「コーシンに転職したい」「来年卒業予定の女性だが就職試験を受けたい」「コーシンでプログラムを勉強したい」といった電話を私自身多く受けた。

 

ただし我々は求人広告をうったこともないし、そもそも人を増やすつもりはなかったから丁重にお断りするしかなかった。そしてお若い方々が将来の就職先として我々の会社を選んでくれることは嬉しいことだがその気もないのに窓口を開けているように見せては罪だとも考え対策をと考えたが、即効果ある策などあるはずもなかった。

 

特に困惑したことは個人的な就職活動ではなく大手の取引先から頭を下げられ身内の子供さんや知人からの依頼事として就職を頼まれるという事態が起きたことだった。勿論学生さん本人や転職を考えている人たちが我々の会社に就職したいという電話をかけてくださったことを非常識のネタにしようとするものではない。

困ったことは我々のクライアントの担当者が自分の親族の子供をコーシンに就職させてもらえないかと打診してきたことが5,6年の間に3度ほどあったことだ...。

 

そのうちの一社は明らかに自分たちの立場、すなわち開発懸案を我々に発注しているという事実をちらつかせた。こうした不愉快なことは当時自社のスタッフたちにも伏せておいたが、いるんですよこういう人が(笑)。それも企業の社長とかオーナーならともかく上場企業のひとつの部署のそれも担当者である。その担当者がどれほど力をもっているかはともかく、我々は会社対会社の取引をしているのであり担当者の憐憫で注文をいただいているのではない…。

 

ましてや上から目線で物言うわけではないが、その頃の市場は我々が開発ビジネスを売り込んだことは1度もなかった。皆大手企業側から進んで開発を頼まれた時代であり、その担当者の時代錯誤なやり方に腹が立つ以前に自身の立ち位置を理解していない現実を気の毒にさえ思った。

 

依頼は次第にエスカレートしていく。最初は自分たちが大手として重要な得意先だということをアピールしていただけだったが、こちらが乗り気にならないことを知るとこのままでは「取引に影響がでる」ことを臭わすようになった。

私は我々の会社は小さくてもソニーさんやキヤノンさんから信頼していただき良い仕事をさせていただいているが、それらの上得意の企業からもそうした依頼を受けたことはないし、誰であれ現在求人をするつもりはないことをはっきりと申し上げたが、なかなか引き下がらない(笑)。

 

怒鳴るわけにもいかないし結局このままでは受注業務にも悪影響が出ると判断した私はその会社の上司にこれまでの経緯を話して善処してもらうことにした。そしてこの時だけ、足掛け14年間ではじめて取引先に「担当を変えて欲しい」と懇願した。

この非常識ネタは大事に至らなかったものの嫌な思い出として記憶に残っている...。

 

 

写真は1996年秋に札幌で開催したプライベートイベント「第5回Macintoshの匠たち」打ち上げ記念写真。当時私たちの会社は総勢たったの7人だった。結局アップルジャパンから2人、ソニーから2人、ポトマックから2人、北海道文教短期大学(当時)の学生さん4人と曽我聰起先生、そして立野康一さん、鵜沢善久さん、有田一彦さん、八木義之さんの応援とご尽力によりこうしたイベントを執り行うことが出来ていた

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