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ソニーからの依頼で子供たちにビデオ講座が企画されたものの...

1992年10月末のことだった...。取引先でもあったソニーの馴染みの担当者から依頼ごとがあった。

それは東京都○○区のとある学校でソニーの後援を得て子供たちを対象にしたビデオ講座が企画されたとのことで私の会社が開発したビデオ編集ソフト「MOMENTO」の簡単な解説と説明をしてくれないか...という話しだった。

 

こうした依頼事は簡単にOKするわけにはいかない。何故ならどれほどの準備が必要なことなのか、どういうコンセプトなのかといったあれこれを咀嚼しておかなければ良い結果は望めないことを多くの経験上知っていたからだ。特に今回は子供たちを相手にした企画であり、説明のやり方や専門用語の使い方などに関しても十分に考慮しなければ子供たちに主旨は伝わらない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

いわば大人に対するプレゼンより子供たちを相手にするプレゼンの方がずっと難しいのだ...。したがって条件というと堅い話になるが、ことの詳細をお聞きするとソニーの担当者はすでに確認していたらしく明解な返事をしてくれた。

 

それによれば、「講演料や交通費などは出ないので100%ボランティアでお願いできないか」との話し...。まあ、教育現場での話しなのでそれははじめから覚悟のことだったから問題にはならなかった。さらにその学校にはすでにMacintoshが十数台設置されており、先方の依頼者がいうには当日子供たちに使って貰う十数台のMacintoshすべてに「MOMENTO」をインストールしたいので台数分の「MOMENTO」を購入する意志があるということだった。そしてソニー自身もVISCA対応のビデオ機器の貸し出し提供をするという...。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

企業同士、それも金銭がからむ話であれば相手が大企業でもきちんとした契約書を取り交わすのが常だが、私たちが行う講演やプレゼンはそもそも自社ソフトウェアを広く販売するための手段である。したがってボランティアであり金銭が行き交うことはほとんどなかったので前記した「MOMENTO」を動作させるMacintoshの台数分ソフトウェアを購入いただき、全てをユーザー登録いただくことでお話しを受けることにした。

 

しばらく経って話しを通していたスタッフから連絡があった。それはその施設から送られてきたユーザー登録書はたった1台分だけだったとのこと。

当時のユーザー登録はパッケージに専用のハガキを同梱していたわけで、もしかしたら日にちを開けて別々に投函したのかも知れないからと一週間ほど待ったが、後はなかった...。

 

早速私は話しを持ち込んでくれたソニーの担当者に電話して状況をお話しした。しばらくしてソニーから申し訳なさそうな電話が入った。

どうやら「MOMENTO」をひとつ購入し、それを十数台のMacintoshにインストールして使いたいという話しに変わったという(笑)。無論これは私が講演するしないといった話し以前に不法コピー行為となる。

 

それを分かっていながら堂々と明言する教育者も困ったものだが、自社製品を不法コピーしたMacintoshと知りながら開発元社長の私がニコニコしながら子供たちの前に立つわけには行かない。

子供たちには何の罪もないが、先にお受けした話しは即刻約束が違うこと、当該行為は不法行為であることを事由にお断りすることにした。無論、もしコピーを実施すれば問題は大きくなることを警告することも忘れなかった。

 

子供たちに最新の映像テクノロジーとコンピュータの応用を知ってもらおうとする試みは買うが、教育者である大人たちのなんと志の低いことか...。これは予算のあるなし以前の問題だ。

確かに当時ソフトウェアは高かった。「MOMENTO」もいわゆる定価は80,000円だったから、10台分なら800,000円の予算が必要となる。ただしそんなことは企画した教育者たちも十分に分かっていたことだし、高いからコピーして良いという理屈は通らない(笑)。どうにも最初からコピーすることを前提で我々を騙すつもりでいたとしか思えない。

 

しかし思えば浅はかな先生たちだった...。例えばの話しだが、当初から「予算がなく台数分のソフトウェアを購入できないが何か善処できる方法はないか…」といった真摯な相談があったなら、私自らが当該複数台のMacintoshに「MOMENTO」をインストールし、講演が終わったらこれまた私自身が削除するといった方法だって考えられないわけではなかった。

 

ともあれ正式にお断りしたことで後にどのように始末をつけたのかは不明だったが、さすがにソニーの担当者は僭越ながら立派だった。「そうしたところにソニーとしても機材提供は出来ない」と企画そのものをなかったことにされたという。それにしても楽しみにしていたであろう子供たちが気の毒だった。

 

 

ソニーVISCA対応ビデオ編集ソフト「MOMENTO」パッケージ

MOMENTOを使えばソニー8mmビデオデッキ「CVD-1000」をMacからコントロールでき、容易にビデオ編集が可能になった

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